Forbidden Palace Library #11 本意なき発言


王都シルバニア
中央公園

大陸の短い夏はあっという間に終わり、太陽は再び低い軌道を周りはじめる。
やがて陽光は街路樹をかすめるようになり、夜の長い冬が訪れる。

まるで木々がそのざわめきで、次なる冬の到来を出迎えているかのようだ。



「そういやこの公園、
 正しくはセンティス記念公園って
 言うんですよね。」

ボイス 「うむ。」

「そのセンティス公って何をした人なんですか?
 大陸史の教科書で名前を聞いた記憶は有るんですけど、
 具体的に何のために有名なのか知らなくて……。」

ボイス 「うむ、そうか。
 秘書、お前の父親の出身国では
 確かに習わない歴史かもしれぬ。」

「どういう意味です?」

ボイス 「まだシルバニアが建国間もない頃、
 この王都でクーデター未遂事件があってな。
 一時は王城まで占領される事態にまで陥った。」

「え、そんな大事件が!?」

ボイス 「時のセンティス公は、
 自らの王立軍をこの中央公園……当時はまだ、
 遷都計画のための資材置き場だったがな。」

ボイス 「とにかくこの広場に兵員を集め、
 自ら師団を率いて王城と王位を奪還した。
 その功績を称えての『センティス記念公園』なのだよ。」

「なるほど、そんなことが……。
 でも、それがどうして、
 父の出身国では習わない歴史になるんですか?」

ボイス 「急がずとも、いずれ理由を知る日も来るだろうて。」

「は、はぁ……。」



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