「よぉ、グラン。」
「グリフィス従兄弟殿。
ちょうどよかったでござる。
お主にもこれを見せようと思っていたでござる。」
「ん?なんだ、その封筒は?」
「故郷カイザリアより送られてきた、
ハミルトン家とベル家の血統図でござる。
かねてより請求していた写しが、やっと届いたのでござるよ。」
「へぇ、俺たちの祖先か。どれどれ……。」
「……すげぇ、なんでこんなに昔の記録まで残ってるんだ!?」
「左様左様、アルゲンタイン帝国末期の、
祖ベルナルドと祖ミランまでなら辿ることができたでござる。
それより以前は、資料が散逸して不明との事。」
「……なんか、俺たちの存在がちっぽけに見えてくるな。」
「否、否。そのようなことはないでござる。
血とは脈々と受け継がれしもの。
今日の拙者らが存在するのも、先人の苦労と努力があってこそ。」
「なれば拙者らは、それらをまた後世へと伝えねばならぬ。
それこそが生きる意味であり、
人類種族としての至上目的なのでござるよ。」
「しかし本当にたくさん枝分かれしてるなぁ。
割といろんな親戚がいるんだな。
ああ、この辺りまで来てやっと俺たちの親の代になるのか。」
「左様左様。」
「……そういやもう長いこと会ってないけど、
小さい頃よく家に来てたエリック叔父さん、
どこかで元気にやってるかな?」
「………………。」
「ん?
グラン、もしかして叔父さんの
行方を知ってるのか!?」
「……本人だとの確信無き以上は、
是と申すことは出来ぬ。
ただ……。」
「ただ?」
「恐らく生きてはいるでござるよ。それも、すぐ近くで。」
★★