Forbidden Palace Library #11 本意なき発言


王都シルバニア
城壁

収穫の秋。街道が最も賑わい、馬車の往来が最も多い季節。
ここシルバニアも例外ではなく、国内外からの収穫物が次々と運ばれてくる。

ある荷馬車は北から南へ、またある荷馬車は南から北へ。
そしてまたある荷馬車は、この都市を終着駅として。



ベル 「よぉ、グラン。」

グラン 「グリフィス従兄弟殿。
 ちょうどよかったでござる。
 お主にもこれを見せようと思っていたでござる。」

ベル 「ん?なんだ、その封筒は?」

グラン 「故郷カイザリアより送られてきた、
 ハミルトン家とベル家の血統図でござる。
 かねてより請求していた写しが、やっと届いたのでござるよ。」

ベル 「へぇ、俺たちの祖先か。どれどれ……。」


ぱらっ

ベル 「……すげぇ、なんでこんなに昔の記録まで残ってるんだ!?」

グラン 「左様左様、アルゲンタイン帝国末期の、
 祖ベルナルドと祖ミランまでなら辿ることができたでござる。
 それより以前は、資料が散逸して不明との事。」

ベル 「……なんか、俺たちの存在がちっぽけに見えてくるな。」

グラン 「否、否。そのようなことはないでござる。
 血とは脈々と受け継がれしもの。
 今日の拙者らが存在するのも、先人の苦労と努力があってこそ。」

グラン 「なれば拙者らは、それらをまた後世へと伝えねばならぬ。
 それこそが生きる意味であり、
 人類種族としての至上目的なのでござるよ。」

ベル 「しかし本当にたくさん枝分かれしてるなぁ。
 割といろんな親戚がいるんだな。
 ああ、この辺りまで来てやっと俺たちの親の代になるのか。」

グラン 「左様左様。」

ベル 「……そういやもう長いこと会ってないけど、
 小さい頃よく家に来てたエリック叔父さん、
 どこかで元気にやってるかな?」

グラン 「………………。」

ベル 「ん?
 グラン、もしかして叔父さんの
 行方を知ってるのか!?」

グラン 「……本人だとの確信無き以上は、
 是と申すことは出来ぬ。
 ただ……。」

ベル 「ただ?」

グラン 「恐らく生きてはいるでござるよ。それも、すぐ近くで。」



▽ 中央公園へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く

★★



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