Forbidden Palace Library #11 本意なき発言


王都シルバニア
城壁

収穫の秋。街道が最も賑わい、馬車の往来が最も多い季節。
ここシルバニアも例外ではなく、国内外からの収穫物が次々と運ばれてくる。

ある荷馬車は北から南へ、またある荷馬車は南から北へ。
そしてまたある荷馬車は、この都市を終着駅として。




ガタガタガタッ

(……ゴミ箱が勝手に揺れている。)

「……ひょっとしてマルス前師団長?」

マルス 「……んんん。
 みつかっちゃったか。
 かくれんぼの鬼、強いねぇ。」

「え、まだやっているつもりだったんですか?」

マルス 「んんん、でも僕も結構長く隠れてたでしょ。」

「いえ、そういう問題ではなく。」

マルス 「んんん、じゃあご褒美にいいこと教えて上げよう。」

「いいこと?ってなんですか?」

マルス 「……もしも君が幸せな人生を望むなら、
 それがいつの時代であっても
 絶対に会ってはならない人物がいる。」

「!?」

マルス 「その正体を知って生き延びた人間は、
 僕の調べた限りでも、かの銀狼帝レインの他には
 数えるほどしかいない。」

「……マルス前師団長?」

マルス 「もしくは、その存在を知って
 人生を狂わせてしまった人間も多い。
 ……例えば君の、前任者のように。」

「!!!」
(私の前にいた、
 先代の秘書さんが……!?)

マルス 「……秘書君。」

「はい?」

マルス 「例え僕が大陸のどこかで息絶えるようなことがあっても、
 僕のこの名前だけは覚えておいてくれ。
 マルス=アインシュタインという名前だけは。」

「……マルス=アインシュタイン。」

マルス 「それが、僕の伝えること全てだ。」

「どうして、そんなに悲愴な表情を?」

マルス 「……これ以上は言えない。
 言えば、君も巻き込んでしまう。
 ……んんん、話が長くなりすぎたね。」

マルス 「じゃあ僕はまた長い長いかくれんぼに戻るよ。
 もう、この国に戻ることは無いかもしれないけど。
 今度は誰が鬼かなぁ。んんん、じゃね!」


しゅっっ

「!!!」
(なんか意味ありげな言葉を残して消えたけど、
 いったいどういう事なんだろう……?)



▽ 中央公園へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く



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