Forbidden Palace Library #11 本意なき発言


王都シルバニア
城壁

収穫の秋。街道が最も賑わい、馬車の往来が最も多い季節。
ここシルバニアも例外ではなく、国内外からの収穫物が次々と運ばれてくる。

ある荷馬車は北から南へ、またある荷馬車は南から北へ。
そしてまたある荷馬車は、この都市を終着駅として。



グラン 「マルス殿。」

マルス 「んんん。
 グラン君、こんにちは。
 でも僕そろそろ行かなくちゃなんだ。」

グラン 「……一体、何処(いずこ)へ。」

マルス 「んんん。とりあえず南方かな。
 まずはバレンタイン港に出て、
 そこからヴァンドレディ公国に向かおうかと思ってね。」

グラン 「何故(なにゆえ)に。」

マルス 「んんん。それは秘密だよ。」

グラン 「エリック殿。」

マルス 「ん?」

グラン 「…………。」

マルス 「!」

グラン 「……何故、正体を隠そうとするのでござる。
 赤の他人ならいざ知らず、
 拙者やグリフィスは貴殿の甥でござるぞ。」

マルス 「……ごめんね。
 でも、言えないんだ。
 僕に、それを語る事はできない。」

グラン 「叔父貴を探すために、
 わずかな情報を信じてこのシルバニアまで、
 来たのでござるよ! それなのに……。」

マルス 「んんん、そっか。
 だから大使として赴任してきたんだね。
 ありがとう。でも、ごめんね。」

グラン 「……どうしても、何も語ってはくれぬでござるか。」

マルス 「外交特権を使えば、非合法な情報にも触れる事ができる。
 君はその中で、薄々と気付いたんじゃないかな。
 僕が、何を恐れているのかを。」

グラン 「…………。」

マルス 「んんん。エリックは死んだ。
 僕は、マルス=アインシュタイン。
 それでいいんだ。」


だっ

グラン 「エリック殿!」


だっだっだっ

グラン 「……叔父貴殿、
 どうして最後まで話を聞いて下さらぬのか!
 その紫の御仁は、既に2年前に……!」

グラン 「……貴方はもう、この世にいない人物に
 怯える必要はないというのに!
 どうして、その事を知って下さらぬのだ……。」



▽ 中央公園へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く

★★★



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