Forbidden Palace Library #11 本意なき発言


王都シルバニア
住宅街

素肌を撫でる風が、少しずつ冷たさを研ぎ澄ます。
それの冷たさに引きずられるかのように、大空も次第に色あせて灰色へと変化してゆく。

パン屋ソフトブレッドの玄関前には、からくり仕掛けの罠らしきものが二体、放置されたままになっている。



「……これ、一体どうするんだろう。
 絶対普通に足を踏み入れたら二つの罠が
 同時に襲ってくるよなぁ……。」

デニス 「あれ、こんにちはー。
 ねぇねぇ、これなに?
 なにか工事でもはじめるの?」

「あ、こんにちは。
 工事というか何というか……。
 どう説明すればいいんだろう、うーん。」

デニス 「もしかして、
 僕を家に入れないために砦を作ろうとしているの?!
 やっぱり昨日メロンパン食べたのばれちゃったんだ!」

「いえ、別にデニス君をどうこうするために
 こんなバリケードが出来たわけでは……。
 ってメロンパン?」

デニス 「お姉ちゃんが、焼くの失敗してこげちゃったから
 食べちゃダメっていってたんだけど、
 でもそれがとてもおいしそうだったんだもん!」

「……それは別に今からでも言えばいいのでは。」

デニス 「うぇーん、きっとお姉ちゃん怒ってるんだ。
 どうしよう、メロンパンの故郷に帰されちゃうかも。
 やっぱり僕メロン畑で生まれたんだーっ!」

「え、メロンパンってメロン畑で獲れるものなの!?」



▽ 中央公園へ行く
▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く

★★



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