Forbidden Palace Library #05 異存なき決定


王都シルバニア
城壁

日は西の空へと沈んだらしく、昼間は灰色だった雲も今は闇色に染まっている。
だが白い雪だけは相変わらず何事もなかったかのようにマイペースにしんしんと降り続けている。
もしかするとこの雪は、シルバニアでは今年最後の雪かもしれない。
やがて冬が明け春の息吹がそよ風と共に訪れる。そしてそれに続く夏の青い空が訪れた頃、南半球に位置するこの大陸は一年を刻み終えることになる。


(あれ?高枝切りバサミの人がいない。
 いえ、別にいないならそれに越したことはないんだけど……。
 ……でも何か嫌な予感がするなぁ。)



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