「エリーゼ師団長、
前から少し気になっていたんですけど、
何がきっかけで今の職業に就こうとしたんです?」
「……こんなこと言うと笑われるかもしれないけど。
本当はね、はっきりとした理由なんかないの。
王立軍に入れば、誰かと会えるような気がしたのよ。」
「誰か……って?」
「その時は全然分からなかったわ。不思議な話よね。
普段なら理論付いていないと行動を起こせない私が、
その時だけは何故か感情だけで動いちゃったのよね。」
「……でもその方が人間らしいと思いますよ。」
「ありがとう、秘書さん。
今考えれば、本当にそれだけなのよね……。
何か約束を果たさなきゃ、っていう思いだけで。」
「約束、ですか……。」
「まだ思い出せないんだけどね。
もしかしたら最初から約束なんかないのかもしれないわね。
私が勝手に既視感を感じているだけなのかもね。」
「でも恋と一緒で頭だけじゃ理解できないことだってありますよ。」
「……それもそうね。くすっ。」
「エリーゼ師団長って……」
「なぁに?」
「昔に比べてなんかこう……変わりましたよね。」
「ち、ちょっと秘書さん?
な、なに言ってるのよ。もう。
……ところでレナード将軍のお仕事はいいの?」
「あ。」
★★