Forbidden Palace Library #07 夜明けの前に


王都シルバニア
ラントシュタイナー邸

住宅街と繁華街のちょうど中間あたりに建てられたラントシュタイナー邸。

先の大戦後、都市の防御力を高める目的で町の一部が再開発されることになったが、その一環としてまず最初に区画再整理されたのが住宅街と繁華街という両者の中間に位置したこの地域であった。
そういった理由でシルバニアの中でも新しいこの地区に合わせたのか、あるいは持ち主の性格を表しているのかまではわからないが、家の回りはいつまでも新築同然に綺麗に手入れされている。



「エリーゼ師団長、
 前から少し気になっていたんですけど、
 何がきっかけで今の職業に就こうとしたんです?」

エリーゼ 「……こんなこと言うと笑われるかもしれないけど。
 本当はね、はっきりとした理由なんかないの。
 王立軍に入れば、誰かと会えるような気がしたのよ。」

「誰か……って?」

エリーゼ 「その時は全然分からなかったわ。不思議な話よね。
 普段なら理論付いていないと行動を起こせない私が、
 その時だけは何故か感情だけで動いちゃったのよね。」

「……でもその方が人間らしいと思いますよ。」

エリーゼ 「ありがとう、秘書さん。
 今考えれば、本当にそれだけなのよね……。
 何か約束を果たさなきゃ、っていう思いだけで。」

「約束、ですか……。」

エリーゼ 「まだ思い出せないんだけどね。
 もしかしたら最初から約束なんかないのかもしれないわね。
 私が勝手に既視感を感じているだけなのかもね。」

「でも恋と一緒で頭だけじゃ理解できないことだってありますよ。」

エリーゼ 「……それもそうね。くすっ。」

「エリーゼ師団長って……」

エリーゼ 「なぁに?」

「昔に比べてなんかこう……変わりましたよね。」

エリーゼ 「ち、ちょっと秘書さん?
 な、なに言ってるのよ。もう。
 ……ところでレナード将軍のお仕事はいいの?」

「あ。」



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▽アシスト邸へ行く
▽ハーシェル邸へ行く
▽パン屋ソフトブレッドへ行く

★★



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