Forbidden Palace Library #07 夜明けの前に


王都シルバニア
パン屋ソフトブレット

木彫りの看板の掲げられた小さなお店。
建物自体には相当の年期が入っていると思われるが、綺麗に掃除されているために古くささをあまり感じさせず、むしろどこか懐かしい雰囲気を醸し出している。

ショーウィンドウ越しに見える店の中では、茶色の髪を持った女性がパン生地をこねている。



からんからん


アリス 「申し訳ありません、開店まではまだ時間が……」

レナード 「……お邪魔、だったかな?」

アリス 「あ、レナード将軍。 いえ、お邪魔だなんてそんなこと……。
 むしろ嬉しいぐらい……い、いえ、あの……。
 あ、いま紅茶お入れしますね。」

レナード 「そうか……ではお言葉に甘えさせて頂こう。」

アリス 「まずお湯を沸かさないと……。
 エレル・メレル・ハーウィレイト
 水よ 疾く揺れ動き熱を持て ボイル!」


ぼっ


アリス 「お湯は沸いたし……紅茶の缶は、と……」


がちゃんっ


レナード 「!!!」

アリス 「あっ!」

レナード 「アリスさん、大丈夫ですか!?」

アリス 「え、ええ。ちょっと火傷しそうになっただけです。」

デニス 「おねーちゃん、本当に大丈夫?」

アリス (火傷……「君の心も火傷してしまったようだね」
 「ううん、いいの、貴方が相手なら……」
 「……今すぐ君を愛したい」「あ、あの、心の準備が……」)

デニス 「……おねーちゃん?」

アリス (「愛に準備など必要ないさ」「で、でもこんな明るい所で……」
 「明るいところだからさ。美しい君の姿が見たいんだ」
 「そ、そんな……恥ずかしい……ちょっと、ダメ……あっ。」)

デニス 「おねーちゃんってばっ!」

アリス 「あ、あら、なぁに、デニス?」

デニス 「おねーちゃん、顔どころか首筋まで真っ赤になってるよ。」

アリス 「な、なんでもないわ。」

デニス 「あ、ひょっとしてそれがきすまーく?」

アリス 「え???」

デニス 「だっておねーちゃん昨日寝る前に、
 レナード将軍を僕の本当のお兄ちゃんにする為には
 まず赤いきすまーくを首筋につけることが第一歩だって……」

アリス 「……デニス、ちょっといらっしゃい。」


ずるずるずる


デニス 「きすまーくってなんだろうJISマークか何かの仲間かな
 とりあえずよくわかんないけどごめんなさいぃいっ。
 やっぱり僕トマト畑で生まれたんだ、うぇーん。」



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▽アシスト邸へ行く
▽ハーシェル邸へ行く
▽ラントシュタイナー邸へ行く

★★



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