Forbidden Palace Library #07 夜明けの前に


王都シルバニア
ラントシュタイナー邸

住宅街と繁華街のちょうど中間あたりに建てられたラントシュタイナー邸。

先の大戦後、都市の防御力を高める目的で町の一部が再開発されることになったが、その一環としてまず最初に区画再整理されたのが住宅街と繁華街という両者の中間に位置したこの地域であった。
そういった理由でシルバニアの中でも新しいこの地区に合わせたのか、あるいは持ち主の性格を表しているのかまではわからないが、家の回りはいつまでも新築同然に綺麗に手入れされている。



「アークライト師団長、こんなところでなにしているんです?」

アーク 「朝の散歩。」

「……散歩?」

アーク 「うん。趣味なんだ。」

「それって普通の人の場合よくある趣味ですけど、
 アークライト師団長の場合はいろんな意味で
 とても危険な趣味ですよね。」

アーク 「うん、そうかもしれない。
 …………。
 ところで今何かとても失礼なことを言わなかったかい?」

「気のせいですよ、きっと。」

アーク 「そうか。それならいいんだ。」

「ところで散歩ってどこにいくつもりなんですか?」

アーク 「うん、知らない。」

「し、知らないって……えっと、あの、」

アーク 「僕、知らないもーん。」

「いえ、子供みたいな口調で言われても困るんですが……」

アーク 「子供かぁ。
 そういえば僕が小さい頃、
 何故か僕だけ鬼ごっこに混ぜてもらえなかったんだよなぁ。」

「まぁ確かに……
 アークライト師団長が鬼になっても逃げる役になっても、
 ゲームにならない気がしますからねぇ。」

アーク 「ジュリアさんはジュリアさんで隠れんぼ嫌いだったし。」

「それももっともですよねぇ。
 暗所恐怖症ですし。……あれ?
 そういえばユリア師団長ってどうして暗所恐怖症になったんですか?」

アーク 「うん。小さかった頃に……」


にゃあ〜。


アーク 「あ、猫だ。かぁいい。」


てってってっ


「ってちょっと、アークライト師団長!
 話の途中でどこに行くんですっ!?
 ……あーあ、猫おいかけてどこか行っちゃった。」



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