Forbidden Palace Library #08 認可なき侵入


王都シルバニア
中央公園

遊歩道の両側に植えられた落葉樹は、その梢から小さな葉を芽生えさせている。
その枝の上では小鳥がさえずり、木々が再び緑色を纏うのを心待ちにしているようだ。
周囲の景色が色を帯びてきたからであろうか、冬には冷たく感じられたその石畳もこの季節にはむしろ暖かく見えてしまう。

公園のベンチでは、猫がしっぽを揺らしながら居心地良さそうにひなたぼっこをしている。



ユリア 「やっほー、秘書ちゃーん☆」

「……ユリア師団長。
 公園のオブジェの上に立って
 何やっているんですか?」

ユリア 「あたし小さい頃よくここで遊んだのよー☆
 それをちょっと思い出しちゃってー☆
 ほら、このオブジェって四角形の石を積み上げただけに見えない?」

「まぁそう言われれば確かに無造作に積み上げただけにも……。」

ユリア 「小さい頃よくこの公園に遊びに来ては、
 このオブジェを砦に見立てて
 よくアークとかと遊んだんだけど……」

「と、砦……。」

ユリア 「実はあながちそれも間違いじゃなかったみたいなのー☆」

「はい?といいますと?」

ユリア 「秘書ちゃん、
 この石よーく見て。
 あと噴水に使われている囲いの石も。」

「そう言われてみると、二つとも同じ種類の石ですね。」

ユリア 「それだけじゃなくて。どこかで見覚えない?」

「どこかで?
 ………………。
 ……………あれ?もしかして……。」

ユリア 「ぴんぽーん☆
 王城本館の壁に使われているのと同じ石でしょー?
 お城の方がちゃんと磨かれてはいるけど☆」

「え?どうしてそんな石がこんなところにあるんです?」

ユリア 「この公園はね、もともとこの王都を建設するにあたっての
 資材置き場だったらしいの☆
 それで王城が完成した時に余った石材で……」

「噴水の囲い作ったり、オブジェを作ったりしていたんですね。
 ……あ!
 そういえば公園の遊歩道の石畳も同じ材質だった気が。」

ユリア 「ぴんぽーん☆
 だいせいかーい☆
 あの石畳も実は王城建築の時に余った端材で作られたおまけ品らしいのー。」

「おまけ品って……。
 なるほど、この公園にそんな隠された由来があったんですね。
 ……ところでユリア師団長。」

ユリア 「なぁにー?」

「いつまでそんな高いところにいるんです?」

ユリア 「飽きるまでー☆」

「……………あ、そ、そうですか。」



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▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く

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