「そういえばまだユリア師団長に聞いていませんでしたね。」
「なになに?なに聞きたいのー?
アークの事? そういえば昔こんなこともあったわねー。
あのね、みんなでピクニックに行ったとき……」
「いえ、あの、確かにその話も面白そうなんですが……ってそうじゃなくて。」
「アークの方向音痴が面白いからってお兄ちゃんと後つけてて、
そのうちに知らない場所にたどり着いちゃって
全員で迷子になったこともあったっけー☆」
「いえ、そうではなく、
次期師団長候補のジュリアスさんという方について
お伺いしたいんですが……」
「あたしのお兄ちゃんがどうしたの?」
「いえ、ですから次期師団長有力候補のジュリアス……」
「だからジュリアスお兄ちゃんの事でしょ?」
「……は?」
「10年ほど前におじーちゃんと喧嘩して家出しちゃったけど。」
「……ってことは、ボイス元帥が侵入を阻止しようとしている人物って、
ユリア師団長のお兄さま、
つまりボイス宰相のもうひとりの孫ってことですか?」
「ぴんぽーん。
だからあたしは中立不干渉って言ってたのー。
これ以上話ややこしくしてもなんだしー☆」
「その言い方からすると、
かつて自分が少なからずややこしくしたという
ニュアンスを含んでいる気が……。」
「やーねー、だめよ秘書ちゃんそんな細かいことにこだわってちゃ☆」
(…………もしかして、ジュリアスさんって
さっき住宅街で道を教えたあの人?
そう言われれば髪の色もどことなくユリア師団長に似ているような……。)
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