Forbidden Palace Library #08 認可なき侵入


王都シルバニア
住宅街

雪も解け、ゆるやかに春の風が舞うこの季節。
住宅街の所々でも花のつぼみがわずかに地面から顔を出し始めている。
それまで耐えてきた長い冬を乗り越え、夏の来ないこの地方でわずかな春の陽気を楽しむかのように。

昼食の時間ということもあり、さっきまであれだけ屋外にでていた子供達はとりあえず家に戻っているようだ。
お昼ご飯が終わった後、再び外へ遊びに出掛けるのであろう。




・・・・・


ユリア 「ふんふんふん♪」

アシスト 「ん?ユリア、どうしたんだ嬉しそうにして?」

ユリア 「あ、ウィルバーちゃん☆
 見てみて、新しいペン買ったのー☆
 いいでしょー☆」

アシスト 「へぇ。質が良さそうだな。エルメキア製か?」

ユリア 「ぴんぽーん☆ あったりー☆
 エルメキアのペン先って書き心地がとってもいいのー☆
 やっぱり魔導金属リルでできているだけあるわねー☆」

アシスト 「何っ!?リル?シェナじゃなくてか?
 ……ああ、本当だ。
 ペン先が白銀だ。間違いなくリルの色だな。」

ユリア 「これだけ細かい魔導金属加工技術を持ってるのって、
 大陸でもまだエルメキアだけなのよねぇ。
 早くシルバニアでも出来るようになるといいわねー☆」

アシスト 「……なぁ、ユリア。」

ユリア 「どしたの、ウィルバーちゃん?」

アシスト 「その魔導金属細微加工技術を、この国でも開発してみないか?」

ユリア 「え?シルバニアで?」

アシスト 「確かにエルメキアは昔から魔導に関しての一流国と言われてきた。
 でも魔導技術に関して現状を見る限りでは、
 このシルバニアだってそんなに劣っているわけじゃない。」

ユリア 「確かにそうよねー。
 だって、あれだけ大きくて長い城壁を全て魔導金属リルだけで
 作ってしまうほどの技術は既にあるんだものねぇ☆」

アシスト 「それなりの実力を持つ魔導師がここに二人もいるんだ。
 魔導に関するあと少しの設備投資さえあれば、
 ペン先を作るのも夢じゃないと思うんだが……。」

ユリア 「……面白そうな話だし、後でおじいちゃんに頼んでみようかしら☆
 レナードちゃんも手紙書くの好きな人だから、
 たぶん二つ返事で賛成してくれると思うしー☆」

アシスト 「そうすればたくさん実験ができるしな……。」

ユリア 「ん?今、何か言った、ウィルバーちゃん?」

アシスト 「ああ、いやいや、なんでもない。」


・・・・・


(今、何か怖い一言を聞いてしまったような……。)



▽ 中央公園へ行く
▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ パン屋ソフトブレッドへ行く



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