Forbidden Palace Library #08 認可なき侵入


王都シルバニア
城壁

日差しをうけて白く輝く城壁。
そしてその城壁の下、同じ白さで輝く高枝切りバサミ。
季節が移り変わってもこの二つだけは変わらないものなのだろうか。

ついこの間まで城壁の上に常備されていた雪かき用のスコップは、もう季節的に必要ないと判断されたのか、兵舎に戻されてしまったようだ。

先ほどまで馬車の上で交渉していた商人達の姿もまばらになってきた。
どうやら交渉がてら昼食でも取りに行ったのだろう。



コペルニクス 「負けぬ。ちゃきーん。
 絶対に負けぬ。ちゃきーん。
 それでこそ俺様の華麗なる高枝切りバサミ。」

「……本当はあんまり関わりたくないんですが、
 ちょっと気になったので質問なんですけど、
 何が負けないんです?」

コペルニクス 「俺様の華麗なる高枝切りバサミは、
 すらりとした支柱などに負けぬ。
 そう言いたいのだ。」

「は?なんです、それ?」

コペルニクス 「俺様の父上の愛用品だ。ちゃきーん。」

「あ、愛用しているんですか?」

コペルニクス 「今頃、隣国ブランドブレイで支柱磨きに精をだしているはずだ。
 もちろん俺様の華麗なる高枝切りバサミの方が素晴らしくはあるがな。
 こっちの方が大きく振り回せるし、な。ちゃきーん。」


ぶんっ


「って危ないから振り回さないでくださいぃぃっ!」


ぶんっ ぶんっ ぶんっ


「ちょっと人の話聞いてますっ!?」

コペルニクス 「………………。」

「? どうしたんです?しゃがみこんで?」

コペルニクス 「……高枝切りバサミが華麗すぎて目が回っただけだ。ちゃきーん」

「いえ、ただ単にぐるぐる大回転したから目を回しただけなんじゃ……。」

コペルニクス 「………………。」

「睨まれても。」

コペルニクス 「だが父上の支柱ではこれほどダイナミックな回転はできまい。くらくらちゃきーん。」

「……この人の家族って一体。」



▽ 中央公園へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く
▽ パン屋ソフトブレッドへ行く

★★★



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