Forbidden Palace Library #09 君だけの騎士


王都シルバニア
中央公園

地面には花が咲き、芝生には草が生い茂る。
落葉樹は再び枝を青く染め上げ、針葉樹も冬とは違う鮮やかな青さを引き出している。
中央公園は冬と同じ場所とは思えないほどの、色鮮やかな色彩で満ちている。

冬にくらべ太陽が高くなったこの季節、影がくっきりと地面に映え遊ぶに適しているのだろう。
噴水の側では、子供達が無邪気に影踏みで遊んでいる。



「あ、ボイス元帥。
 公園のベンチに腰掛けてなにやっているんです?
 ……あれ?その紙袋は?」

ボイス 「うむ、新しいクッキー屋をたまたま見つけてな。
 いや厳密にはケーキ屋なんだがクッキーも扱うことにしたらしくてな。
 試しにミルククッキーを買ってみたんじゃよ。」

「……ミルククッキーしか買わない、の間違いではないんですか?」

ボイス 「何か言ったか、秘書?」

「いえ、何も。それで、お味の方は?」

ボイス 「うむ、10点満点中8点、といったところか。
 甘みが程良く抑えてあり、
 後味もなかなかだがいまいち特徴がないな。」

「……細かいですねー。」

ボイス 「だが、半年ほど前にカイザリアのアンヴェリアルサットに開店した
 あのクッキー屋の味にはやはり劣るのぉ。
 そう言われれば開店直後に一度行ったきり遠くてあのお店には行ってないな。」

「詳しくは、
 外伝『花束を彼女に 〜アーク編〜』を
 参照ということですね。」

ボイス 「何の話じゃ?」

「いえ、何も。
 ところでそのお店、
 何という名前だったんです?」

ボイス 「クッキー屋アンペアじゃ。一度行った店はちゃんと覚えておるぞ。」

(仕事にもそのぐらい熱心になってくれればいいのに……。)



▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く
▽ パン屋ソフトブレッドへ行く

★★



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