Forbidden Palace Library #09 君だけの騎士


王都シルバニア
城壁

冬に比べ太陽の日差しは強くなり、白銀の城壁はいっそうその輝きを増す。
そして反射された太陽光により、城壁の周囲はやや暖かみを増す。

やや日差しが傾き、周囲が冷えてきたせいなのだろう。
先ほどまでうとうとしていた兵士達も、今はもうしっかりと目を覚ましているようだ。



レナード 「というわけで。」

「何がというわけなんです?」

レナード 「恒例となってきた危険な話のコーナーだ。」

「……いつから恒例になったんです?」

レナード 「深いことは気にするな。
 さて、秘書。
 方向音痴な話について聞きたくはないか?」

「アークライト師団長の、ですか?」

レナード 「いや、木枯吹雪のだ。
 奴は一度通った道を覚えるのは早いのだが、
 一番最初にたどり着くまでが大変でな。」

「いいんですか?そんなこと言って?」

レナード 「なんでもこの間も新宿から代々木オリンピックスタジアムを経由して渋谷に行こうと
 していたところ、どこをどう間違ったのか
 駒沢のオリンピックスタジアムの前に出ていたらしいからな。」

「……都心に住んでいない人には
 分かりづらいネタですが、
 全然場所違うじゃないですか。」

レナード 「本人の弁によると、
 山手線沿いに歩いていけばいいと思っていたら
 何故か中央線沿いに歩いていたらしい。」

「……それは方向音痴以前の問題なのでは?」

レナード 「それ以前にも一度、
 渋谷から新宿まで歩こうとして間違えて三軒茶屋まで歩いていたことが
 あったらしいからな。方向が120度近く違うにも関わらず、だ。」

「それってもしかしてワザと道に迷っていません?」

レナード 「いや、奴の場合は下手に散歩好きということが逆効果してか、
 間違いに気づいても戻ろうとせずそのまま歩き続けてしまうので
 こういう結果を招いているのだろう。……タチが悪いな。」

「……そんなことばかり言ってると、いつか出番なくしますよレナード将軍。」



▽ 中央公園へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く
▽ パン屋ソフトブレッドへ行く

★★★



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