「というわけで。」
「何がというわけなんです?」
「恒例となってきた危険な話のコーナーだ。」
「……いつから恒例になったんです?」
「深いことは気にするな。
さて、秘書。
方向音痴な話について聞きたくはないか?」
「アークライト師団長の、ですか?」
「いや、木枯吹雪のだ。
奴は一度通った道を覚えるのは早いのだが、
一番最初にたどり着くまでが大変でな。」
「いいんですか?そんなこと言って?」
「なんでもこの間も新宿から代々木オリンピックスタジアムを経由して渋谷に行こうと
していたところ、どこをどう間違ったのか
駒沢のオリンピックスタジアムの前に出ていたらしいからな。」
「……都心に住んでいない人には
分かりづらいネタですが、
全然場所違うじゃないですか。」
「本人の弁によると、
山手線沿いに歩いていけばいいと思っていたら
何故か中央線沿いに歩いていたらしい。」
「……それは方向音痴以前の問題なのでは?」
「それ以前にも一度、
渋谷から新宿まで歩こうとして間違えて三軒茶屋まで歩いていたことが
あったらしいからな。方向が120度近く違うにも関わらず、だ。」
「それってもしかしてワザと道に迷っていません?」
「いや、奴の場合は下手に散歩好きということが逆効果してか、
間違いに気づいても戻ろうとせずそのまま歩き続けてしまうので
こういう結果を招いているのだろう。……タチが悪いな。」
「……そんなことばかり言ってると、いつか出番なくしますよレナード将軍。」
★★★