「そういえば絵の具って、どうやって作られるんです?」
「これか?
色自体は顔料によってつけられるが、
ベースとなる液体はリルの副産物なんじゃよ。」
「副産物? 魔導金属リルの?」
「砂からリルを魔導生成する時に、
虹色の液体が生まれるのは知っておるか?
すぐに冷えて白くなってしまうんじゃが……」
「ええ、確か初等学校の時の社会科見学で見た記憶が。」
「その白くなったジェル状の液体に
鉱石からとれた顔料を混ぜると、
絵の具ができあがるんじゃ。」
「ふーん、そうなんですかー。」
「遙か昔は木や石の油に混ぜて絵を描いていたこともあったようじゃがの。」
「油に色を混ぜて?」
「もっとも、今から千年以上も昔の話じゃ。
そのころの絵などとうに残ってはおらん。
そうだったらしいという話が口伝で伝えられているだけなんじゃがの。」
(千年以上……昔の人はどんな絵を描いていたんだろう。)
★★