Forbidden Palace Library #09 君だけの騎士


王都シルバニア
住宅街
パン屋ソフトブレッド

住宅街の一角から、麦の焼ける香ばしい匂いが漂ってくる。
たった一人の少女が始めた、街角の小さなパン屋さん……ソフトブレッド。
そのふんわりとした触感が好評なのか、近所の住人にも常連客が増えているようである。

もっとも、1番の常連客はこの人だが……。



「ところでその紅茶、どこのメーカーの製品なんですか?」

レナード 「レプトン社の紅茶だ。」

「…………レプトン? リ、じゃないんですか?」

レナード 「間違えてはいかんな。『リ』ではなく『レ』だ。」

「で、レプトンってどういう意味なんです?」

レナード 「『lepton』、古代世界語で『素粒子』という意味だ。」

「な、なんでその名前が紅茶につけられたんです!?」

レナード 「知りたいか?」

「……微妙に気になるんですが。」

レナード 「そもそも……」


とたとたとた


アリス 「レナード将軍、お茶が入りました。
 あ、秘書さんもよければどうぞ。
 角砂糖は、一つしか入っていませんけど……」

レナード 「ありがとう。では早速いただくとしようか。」


こくっ


レナード 「やはりアリスさんが煎れてくれた紅茶はおいしいな。」

アリス 「そんな……ぽっ。」

「それでレナード将軍、レプトン社の由来って……」

レナード 「……その話はまた今度にしよう。」

「ってああっ、中途半端にされるとすごく気になるんですがっ。」



▽ 中央公園へ行く
▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く

★★★



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