Forbidden Palace Library #09 君だけの騎士


王都シルバニア
住宅街
パン屋ソフトブレッド

住宅街の一角から、麦の焼ける香ばしい匂いが漂ってくる。
たった一人の少女が始めた、街角の小さなパン屋さん……ソフトブレッド。
そのふんわりとした触感が好評なのか、近所の住人にも常連客が増えているようである。

店の中では、一人の女性がティーカップを片づけているところだ。




からんからん


デニス 「ただいまー。」

アリス 「おかえりなさい、デニス。」

デニス 「あれ? レナードお兄ちゃん来てたの?」

アリス 「え、ええ。さっきまで……。」

デニス 「あ、もう帰っちゃったんだー。
 残念だなー。
 せっかく教えてあげたいことがあったのにー。」

アリス 「教えてあげたいこと?なにかしら?」

デニス 「うん、あのね、
 いつレナードお兄ちゃんが来てもいいようにって、
 毎晩おねーちゃんが自分の寝室を念入りに整えていること。」

アリス 「デ、デニスっ!」

デニス 「でもなんで寝室を整えているんだろう?
 お客さんが来るのは居間だと思うんだけどなぁ。
 それにいつも昼間来てるのに。あれ?何か変だな?」

アリス 「……デニス。ちょっといらっしゃい。」

デニス 「うぇーん、ごめんなさいーっ。
 よくわかんないけどそれが大人の秘密なんだねっ。
 やっぱり僕ケナフ畑で生まれたんだーっ」


・・・・・・


(……今度は誤解と無邪気さが入り交じった雰囲気が……。)



▽ 中央公園へ行く
▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く

★★



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