Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
中央公園

朝の公園は静かで、空気がとても澄んでいる。
青葉に満ちた樹木の下を歩けば、
その新鮮な自然の吐息が、そよ風という形で頬を撫でる。

いわゆる『夏』の季節。
だが、緯度の高いこの地方では、決して暑くなることはない。



(あ、画家の人が何か描いている。
 何の絵だろう。
 ……聞いてみよう。)

「あのー、すいません。」

エディソン 「ほいほい、なんじゃい?」

(ほ、ほいほい……?)

「さっきから何の絵を描いているんですか?」

エディソン 「ここから見える王城じゃよ。
 ちょうどこの石に腰掛けると、
 いい具合に木々と白と空がバランス良く調和しての。」

「あ、本当だ。
 お城を中心にして空と木々が
 綺麗に分かれるんですね。」

エディソン 「うむ。夜景を描くにしても、
 彩色はともかくデッサンは昼間の方が
 取りやすいからの。」

「そういうものなんですか。」

エディソン 「そういうものなんじゃよ。
 ……ところで、前にどこかで会ったことはないかね?
 何となく既視感を覚えるんじゃが。」

「?……いえ、ないと思いますが。」

エディソン 「ふむ。そうじゃったか。
 かなり昔にどこかで会っておる気がしたんじゃが……。
 すまん。気にしないでおくれ。」

「はあ……?」



▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く

★★



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