王都シルバニア
城壁
夏のゆるやかな日差しが、城壁の白い輝きをより際だたせる。
日光の直接反射を防ぐために表面加工されているものの、
やはりその眩しさを完全に防ぐことは出来ないようだ。
だがその目映さは、色彩的なものだけではない。
先の大戦を守り抜いた、偉大な城壁への信頼の光なのかもしれない。
その一切継ぎ目のない城壁の前を、幾人かの兵士が巡回している。
高枝切りバサミの影は周囲に見あたらないようだ。
きょろきょろ
(………………?)
きょろきょろ
(……あれ?いない。)
(いつもなら、
ここに来ればいると思ったんだけど。
どうしてこういう時に限っていないんだろう?)
(…………珍しいこともあるのかなぁ。)
(他の場所を探してみるか。
……とは言っても、
ここ以外にどこにいるのか検討つかないし。うーん。)
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