「あれ、ジュリアスさん。」
「ユリウスだってば。」
「どうしたんです、そんな大荷物で。」
「ああ、ちょっと別件で用事があってな。
戻ってきたばかりなんだけど、
またすぐに王都を離れにゃならんのよ。」
「なるほど、そうだったんですか。
にしてもその背中の大剣、
かなり目立ちますね……。」
「ハーシェル家に伝わる宝剣さ。
別に戦いに行くわけじゃないんだけどな、
なんとなくこいつが背中にないと不安でな。」
「ハーシェル家ってことは、
ボイス元帥もかつてその剣を
使っていたんですか?」
「ああ、あのジジイの話を
真面目に聞いたことはないけど、
昔はこの剣携えて外国に行ったこともあるとか言ってたな。」
「随分と昔から使われて居るんですね。」
「武器ってのは身を守るための道具だ。
道具はこまめに手入れしてやれば、
末永く使うことが出来る。」
「……ところでジュリアスさん、
コペルニクス副師団長をどこかで
見かけませんでした?」
「ん?いつもみたく城壁にいないのか?」
「ええ。先程行ったときは不在でした。」
「じゃあ所用で出掛けてるんだろ。
たぶんすぐ戻ってくると思うから、
時間おいてまた城壁に行ってみたらどうだ?」
「それもそうですね。ありがとうございます。」
「おう、じゃあまたな。」
★