Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
中央公園

朝の公園は静かで、空気がとても澄んでいる。
青葉に満ちた樹木の下を歩けば、
その新鮮な自然の吐息が、そよ風という形で頬を撫でる。

いわゆる『夏』の季節。
だが、緯度の高いこの地方では、決して暑くなることはない。



「あ。アシスト師団長。」

アシスト 「ん、ああ。秘書か。」

「おかえりなさいませ、
 長旅お疲れさまでした。
 ……あれ、エリーゼ師団長は?」

アシスト 「え?あいつまだ帰ってないのか?」

「はい……っていうかご一緒だったんじゃないんですか?」

アシスト 「いや、今回あいつとは別行動だったからな。
 ユリアならさっき城門のところで会ったけれど。
 ところで秘書、俺のいない間の王都は無事だったか?」

「……あんまり平穏無事ではない気がしますね。」

アシスト 「そうか、やはり俺がいないと王都の平和は守られないようだな。
 ここは一つ、いままでよりも実験体を探す回数を
 増やさねばならないな。」

「それは余計に平和が乱れるんじゃ……。」

アシスト 「何か言ったか、秘書?」

「いえ、なにも。」

アシスト 「というわけでどうだ、秘書。
 1日10リルで手を打たないか?
 なに、すぐに痛みなんか知覚できなくなるぞ。」

「あのー、それもの凄く怖いんですが。
 あ、仕事の途中なので失礼しますね。
 ではっ。」


たたたたたっ


アシスト 「……ちっ、逃げられたか。」



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▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く
▽ パン屋ソフトブレッドへ行く



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