Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
住宅街

本来なら閑静なこの住宅街も、いつもより通行人が多く、
賑やかな声があちこちから聞こえてくる。

普段なら昼食の準備の音が聞こえてくるのだが、
今日ばかりはお祭り準備のにぎわいにかき消されてしまう。

そして、その賑わいの真ん中にそそりたつ大きな紙袋が一つ。



(今度は住宅街の真ん中に大きな紙袋……。)

「……マルス前師団長。」

マルス 「んんん!
 また見付かっちゃった!
 なかなかやるね、秘書君。」

「いくら馬車の入ってこない街で安全だからって、
 道の真ん中でそんな恰好してれば
 目立つのは当たり前です。」

マルス 「んんん、そうか。やはり迷彩色に塗るべきか。」

「こんな町中で迷彩色にしてどうするんですか。」

マルス 「冬季迷彩で。」

「いえ、仮にその紙袋を白く塗ったところで、
 目立つことには変わりないと思うんですが……。
 だいたい今は夏ですよ?」

マルス 「んんん。
 通りで暖かい季節だと。
 これなら夜中までかくれんぼできるねっ!」


たったったっ

「……ていうかひょっとして、いつの間にか私が鬼の役?」



▽ 中央公園へ行く
▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ パン屋ソフトブレッドへ行く

★★



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