Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
繁華街

お祭りが近いとあって、街は普段よりも多くの人で溢れている。
本来なら街路樹の前後2メートル以内に出店が規制されているはずの露店も、
この時期ばかりは多少越えていてもお咎めはないようだ。

それもそのはず。
本来なら監視する側の王立軍の兵士達も、お祭りに浮かれているのだから。

昼時が近づいたためだろうか、朝よりもいっそう混雑してきた感がある。



「あ、レナード将軍!!」

レナード 「秘書か。旗は無事に届けたのか?」

「はい。確かにコペルニクス副師団長に渡しました。」

レナード 「……それだけか?」

「はい?それだけ……って?」

レナード 「きちんと王立劇団に届いたことをその目で見届けたのか?」

「い、いえ、そこまでは……。」

レナード 「ならぱ、いますぐその場に戻り、
 コペルニクスがきちんと劇団まで届けに行ったか、
 何か問題を起こさないかを監視せよ。」

「か、監視ですか?」

レナード 「そうだ。なるべく本人に気づかれないようにな。」

「……あんまり乗り気じゃないんですけど。」

レナード 「秘書。お前以外に誰がこの国を師団長達の魔の手から守るんだ?」

「……師団長の魔の手からって、
 なんか違う気がするんですが。
 そもそも師団長が国を守るべきなんじゃ……。」

レナード 「文句があるなら本人達に言ってくれ。」

「……この国って一体。」

レナード 「トップがどうしようもないのかもしれないな。」

「そのトップが私の目の前にいる時、私はどうすれば。」

レナード 「……何か言ったか、秘書?」

「いいえ、なにも。」
(はぁ……。
 なんだか気が進まないなぁ。)



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