Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
城壁

夏のゆるやかな日差しが、城壁の白い輝きをより際だたせる。
日光の直接反射を防ぐために表面加工されているものの、
やはりその眩しさを完全に防ぐことは出来ないようだ。

だがその目映さは、色彩的なものだけではない。
先の大戦を守り抜いた、偉大な城壁への信頼の光なのかもしれない。

ふと見れば、どこかで見た茶髪の魔導師がこちらに向かって手を振っている。



ユリア 「やっほー、秘書ちゃーん。」

「あ、ユリア師団長。」

ユリア 「ただいまー☆
 はい、ブランドブレイみやげの
 高枝切りバサミ饅頭。」

「ええっ!?あるんですか、そんなのっ!?」

ユリア 「うっそー☆ あるわけないじゃないー。
 やーねー、こんな見え見えの嘘に引っかかってー。
 あったらそれこそ世界の破滅よ。」

「……何気にもの凄いこと言ってません?」

ユリア 「え、そうー?いつもあたしは常識的な発言よ☆」

「王立軍の中にいると常識という言葉が分からなくなるんですが。」

ユリア 「何か言ったー?」

「いいえ、なにも。」

ユリア 「それでね、ブランドブレイ行ったついでに、
 曾祖母ちゃんの生家も見てきたの☆
 ちゃんとまだあったわよー。」

「あ。そうなんですか。」

ユリア 「やっぱり古い町並みっていいわねぇ。
 シルバニアもいい街だけど、それとはまた違う趣があるのよね。
 秘書ちゃんも時間見つけて見に行ってみたらー?」

「……そんな時間を与えてくれないのが、
 どこの誰だかわかってて
 言ってません?」

ユリア 「え?誰だれー?
 アークとあたしじゃないことだけは確かなんだけどー。
 あ、わかった。」

「わかっていただけましたか?」

ユリア 「秘書ちゃん本人ね☆」

「……やっぱり聞いた私が馬鹿でした。」

ユリア 「だめよー、人のせいにしちゃ。」

「……それは一体どっちなんでしょう。」

ユリア 「え、だから秘書ちゃん。」

「…………もういいです、私の負けです。」

ユリア 「はーい。じゃ、またねー☆」


すたすたすた


「……って、いつの間に私のせいにされたんだろう。」



▽ 中央公園へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く
▽ パン屋ソフトブレッドへ行く

★★★



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