Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
中央公園

昼を過ぎたからだろうか、
公園のベンチや広場でくつろぐ人の姿が
ちらほらと見受けられるようになってきた。

中央公園……それは王都の中の憩いの場、そして安らぎの場。
ある者は本を片手に、またある者は昼食を取りながら
自分の時間を楽しんでいるようだ。

もちろん、ここにいる画家もその例外ではない。



コペルニクス 「……おい、そこの絵描き。」

エディソン 「なんじゃらほいほい。」

コペルニクス 「一つ、頼みたいことがある。」

エディソン 「ん?今日は来客の多い日じゃの。」

コペルニクス 「そのナイフと綺麗な色の画材で、
 この俺様の華麗なる高枝切りばさみを
 色鮮やかに装飾してもらいたい。」

エディソン 「……高枝切りバサミに絵を描いてくれとは初めての注文じゃの。
 しかし、そのシャフトは魔導金属でできとるじゃろ?
 いくらわしとは言え金属に色を付けることは出来ぬぞ。」

コペルニクス 「ならば、この高枝切りバサミ用の長いリボンに色を付ける事は?」

エディソン 「ふむ。
 そのぐらいならすぐにできるじゃろう。
 少し待っとりなさい。」

コペルニクス 「…………ちゃきーん。」

「ってコペルニクス副師団長。
 こんなところで何やってるんですか?
 早く王立劇団に旗を届けてくださいよ。」

コペルニクス 「分かっている。ただ準備をしているだけだ。」

「何の準備です?」

コペルニクス 「もちろん、
 この俺様の華麗なる高枝切りバサミの
 魅力を一際目立たせるための……。」

「そんな準備しないでください。」

コペルニクス 「……ちゃきーん。」

「……睨んでもダメです。
 とにかく早く届けてください。
 もう正午ですよ!?」

コペルニクス 「慌てるな。こういうことには準備が必要だ。」

「だから何の準備……。」

コペルニクス 「ちゃっきーん。」


たったったっ

「あっ、コペルニクス副師団長っ!?」



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