「……おい、そこの絵描き。」
「なんじゃらほいほい。」
「一つ、頼みたいことがある。」
「ん?今日は来客の多い日じゃの。」
「そのナイフと綺麗な色の画材で、
この俺様の華麗なる高枝切りばさみを
色鮮やかに装飾してもらいたい。」
「……高枝切りバサミに絵を描いてくれとは初めての注文じゃの。
しかし、そのシャフトは魔導金属でできとるじゃろ?
いくらわしとは言え金属に色を付けることは出来ぬぞ。」
「ならば、この高枝切りバサミ用の長いリボンに色を付ける事は?」
「ふむ。
そのぐらいならすぐにできるじゃろう。
少し待っとりなさい。」
「…………ちゃきーん。」
「ってコペルニクス副師団長。
こんなところで何やってるんですか?
早く王立劇団に旗を届けてくださいよ。」
「分かっている。ただ準備をしているだけだ。」
「何の準備です?」
「もちろん、
この俺様の華麗なる高枝切りバサミの
魅力を一際目立たせるための……。」
「そんな準備しないでください。」
「……ちゃきーん。」
「……睨んでもダメです。
とにかく早く届けてください。
もう正午ですよ!?」
「慌てるな。こういうことには準備が必要だ。」
「だから何の準備……。」
「ちゃっきーん。」
「あっ、コペルニクス副師団長っ!?」
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