「確かアシスト師団長は
ウニベルシダー市に行ってたんですよね?
どんな所でした?」
「流石はブランドブレイの学術都市にして
大陸一の大学街の名を冠するだけのことはあるな。
本屋の数といい、図書館の規模といいこことは大違いだ。」
「へえ、そんなに知識が集結している都市なんですか?」
「大学図書館収蔵の公式ファイルメートル数を合計して比べれば、
俺の生家とタメを張れるかもしれねぇな。
ここにも一つぐらいちゃんとした図書館が欲しいもんだな。」
「あれ?
そういえばこの王都には高等学院って
ないですよね。」
「そうだな。
大陸の各地に高等学院が移転された時、
ここシルバニアにはまだ町すらなかったしな。」
「移転?」
「ああ、悪ぃ。説明を省いちまったな。
この大陸の各地にある高等学院はかつて
全て王都シャロンにあったんだ。」
「シャロン……確か今は亡きラファエル王国の首都の名前ですよね?」
「そうだ。今度はちゃんと覚えていたな。
エンディルとの戦いで炎上した事ははっきりしているんだが、
その廃墟すら大陸中どこを探しても見つかっていない。」
「なんでです?」
「俺にも分からねぇ。
可能性としていくつか考えられるが……。
……あの男が、関与していたのかもしれないな。」
「あの男?」
「いや、なんでもない。もしそうだとしても、
もう真偽を問いただすことは出来ないからな。
……そう、それで高等学院の話だったな。」
「はい。」
「その炎上の際に研究機関としての高等学院は
他の健在だった都市にそれぞれ移転した。
今のエルメキアやカイザリア、そしてブランドブレイに。」
「その一つが現ブランドブレイ王国のウニベルシダー市?」
「そういうことだ。」
「なるほど……。」
「余談だが、その移転先の一つに当時はまだブランドブレイ領だった
バレンタイン市も含まれていた。だからこの国では
王都シルバニアではなくバレンタインに高等学院があるわけだ。」
「なるほど……そんな歴史があったんですね。」
「感心したか?」
「ええ、ちょっとアシスト師団長を見直しました。」
「そうかそうか。
ならば、その感謝の気持ちを一日実験台として
表すというのはどうだ?」
「前言撤回します。」
「わかった。二日実験台でどうだ?」
「……なんか増えてません?」
「よし。出血大サービスだ。三日実験台……。」
「本当に出血しそうでかなり怖いんですが。」
「ん? どうして分かったんだ?」
「………………。」
「ちっ、マルスでも誘ってみるか。」
★★