Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
住宅街
パン屋ソフトブレッド

昼食時を過ぎたからだろうか、
さっきまでは時折行き交う人々の足音と、台所から洩れてくる軽快な料理の音だけで満たされていたのが、
いつの間にか子供達の小さな足が路地を駆け回る音と、陽気にはしゃぐ声に取って代わられている。

昼過ぎの住宅街は、子供達にとって恰好の遊び場のようだ。



からんからん

アリス 「…………あ。」

「こんにちは。」

アリス 「……こんにちは。」

「あのー、つかぬ事お伺いしますけど、
 ここにコペルニクス師団長は
 来てないですよね?」

アリス 「……来てません。」

「やっぱりそうですよね。それじゃあ、これで……」

アリス 「…………でも。」

「え?」

アリス 「レミィ女王陛下ならいらしてます。」

「…………はい?」

レミィ 「くー。」

「……何してるんですんですか、レミィ陛下。」

レミィ 「くー。」

デニス 「うん、お姉ちゃんに頼まれて小麦粉取りに行ったら
 裏の倉庫の中で何か人影のようなものが横になってて、
 うわーん怖かったよー!」

「……何故そんなところで寝てたんだろう、この人。」

アリス 「女王陛下だったからよかったものを、
 泥棒だったらどうするつもりだったの、デニス。
 ちゃんと鍵は開けたら閉めなさいって言ってるでしょ。」

デニス 「うぇーん、ごめんなさいお姉ちゃんー!
 こんどから気を付けるから、
 トウキビ畑に捨てないでー!」

「何故トウキビ畑…………。
 それで、アリスさんが
 女王陛下をここに?」

アリス 「ええ。なかなか起きないようですし、
 いつまでも倉庫で寝かせておくのも忍びないので、
 とりあえずカウンターまでは運んだのですが。」

レミィ 「……はなまるぅ、むにゃにゃ。」

「…………この人って一体。」

アリス 「……あの。
 お手数かもしれませんが、
 どなたか呼んできていただけると助かるのですが。」

「ああ、はい。わかりました。そういうことでしたら。」

レミィ 「……はなまるぅ。むにゃ。」



▽ 中央公園へ行く
▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く

★★



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