「アークライト師団長、こんなところで何やってるんですか?」
「やぁ、板書君。」
「秘書です。」
「うん、絵を描いているんだ。」
「……ひょっとして公園の絵描きさんに何か影響されました?」
「あれれ、どうして分かったの?不思議だなぁ。」
「それで、何を描いているんです?」
「うん。町並み。」
「……あの、この黒いのは?」
「うん?それはさっき向こうを歩いてたおじいさん。」
「こっちの赤いかたまりは?」
「さっきそこにジュース売りの屋台が出てたんだ。
途中でなくなっちゃったから、
そのままになっちゃってるけど。」
「じゃあこっちの黄色い丸は?」
「えっと、それはなんだっけ。
あ、うんうん。さっき幌付きの荷馬車が通ったんだ。
それで慌てて描いたんだけど、どこか行っちゃって。」
「…………随分と前衛的な風景画ですね。」
「でもそろそろここの風景も飽きたなぁ。
他の場所でも描いてみようかな。
じゃあまたね、焚書君。」
「いえ、秘書です。
って何処に行くんですか、アークライト師団長!?
そっちは行き止まり……あれ、いない。」
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