Forbidden Palace Library #11 本意なき発言


王都シルバニア
城壁

収穫の秋。街道が最も賑わい、馬車の往来が最も多い季節。
ここシルバニアも例外ではなく、国内外からの収穫物が次々と運ばれてくる。

ある荷馬車は北から南へ、またある荷馬車は南から北へ。
そしてまたある荷馬車は、この都市を終着駅として。



「アークライト師団長、こんなところで何やってるんですか?」

アーク 「やぁ、板書君。」

「秘書です。」

アーク 「うん、絵を描いているんだ。」

「……ひょっとして公園の絵描きさんに何か影響されました?」

アーク 「あれれ、どうして分かったの?不思議だなぁ。」

「それで、何を描いているんです?」

アーク 「うん。町並み。」

「……あの、この黒いのは?」

アーク 「うん?それはさっき向こうを歩いてたおじいさん。」

「こっちの赤いかたまりは?」

アーク 「さっきそこにジュース売りの屋台が出てたんだ。
 途中でなくなっちゃったから、
 そのままになっちゃってるけど。」

「じゃあこっちの黄色い丸は?」

アーク 「えっと、それはなんだっけ。
 あ、うんうん。さっき幌付きの荷馬車が通ったんだ。
 それで慌てて描いたんだけど、どこか行っちゃって。」

「…………随分と前衛的な風景画ですね。」

アーク 「でもそろそろここの風景も飽きたなぁ。
 他の場所でも描いてみようかな。
 じゃあまたね、焚書君。」

「いえ、秘書です。
 って何処に行くんですか、アークライト師団長!?
 そっちは行き止まり……あれ、いない。」



▽ 中央公園へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く



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