Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
中央公園

昼を過ぎたからだろうか、
公園のベンチや広場でくつろぐ人の姿が
ちらほらと見受けられるようになってきた。

中央公園……それは王都の中の憩いの場、そして安らぎの場。
ある者は本を片手に、またある者は昼食を取りながら
自分の時間を楽しんでいるようだ。

もちろん、ここにいる画家もその例外ではない。



エディソン 「……なぁ、若いの。」

ベル 「ん?俺か?なんだ?」

エディソン 「前に、どこかで会ったことはないかね?」

ベル 「???
 ……いや?
 えっと、俺の知り合い?」

エディソン 「そういうわけではないんじゃが……。
 すまん、気にしないでおくれ。
 その髪の色と瞳の輝きが古い弟子に似ていたのでな。」

ベル 「弟子?」

エディソン 「数多くいた中で、儂の最後から二番目の教え子じゃ。
 本来の命題(メビウス・ミッション)を継がせた者としては、
 最後の一人になってしまったが……。」

ベル 「え、その弟子は今どこにいるんだ?」

エディソン 「風の噂では、早くに亡くなってしまったそうだ。」

ベル 「あ……悪ぃ。」

エディソン 「いや、気にするでない。とうの昔の話だ。」

ベル 「でも、もし生きていれば
 あんたと同じように
 立派な絵を描いただろうにな。」

エディソン 「それはどうかのぅ?
 儂はそのころまだ画家として活動は
 しておらんかったからな。」

ベル 「え、じゃあさ、何の弟子だったんだよ?」

エディソン 「……指名手配が完全に時効なのを確認したら説明してやるわい。」

ベル 「そうか。
 ……ん?待てよ、指名手配?
 俺はそれで納得していい立場なのか?」

エディソン 「気にしたら負けじゃ。」

ベル 「それもそうだな。
 …………。
 って、なんか言いくるめられてないか?」

エディソン 「だから気のせいじゃな。」

ベル 「それもそうか。
 …………。
 ん?やっぱり俺なんか騙されてないか?」


・・・

(……絶対気のせいじゃないと思う。)



▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く
▽ パン屋ソフトブレッドへ行く

★★



▽ 書庫に戻る

OWNER
Copyright(c)1997-2002 FUBUKI KOGARASHI (木枯 吹雪) fubuki@kogarashi.jp 日本語でどうぞ。