「……なぁ、若いの。」
「ん?俺か?なんだ?」
「前に、どこかで会ったことはないかね?」
「???
……いや?
えっと、俺の知り合い?」
「そういうわけではないんじゃが……。
すまん、気にしないでおくれ。
その髪の色と瞳の輝きが古い弟子に似ていたのでな。」
「弟子?」
「数多くいた中で、儂の最後から二番目の教え子じゃ。
本来の命題(メビウス・ミッション)を継がせた者としては、
最後の一人になってしまったが……。」
「え、その弟子は今どこにいるんだ?」
「風の噂では、早くに亡くなってしまったそうだ。」
「あ……悪ぃ。」
「いや、気にするでない。とうの昔の話だ。」
「でも、もし生きていれば
あんたと同じように
立派な絵を描いただろうにな。」
「それはどうかのぅ?
儂はそのころまだ画家として活動は
しておらんかったからな。」
「え、じゃあさ、何の弟子だったんだよ?」
「……指名手配が完全に時効なのを確認したら説明してやるわい。」
「そうか。
……ん?待てよ、指名手配?
俺はそれで納得していい立場なのか?」
「気にしたら負けじゃ。」
「それもそうだな。
…………。
って、なんか言いくるめられてないか?」
「だから気のせいじゃな。」
「それもそうか。
…………。
ん?やっぱり俺なんか騙されてないか?」
(……絶対気のせいじゃないと思う。)
★★