Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
城壁

夏のゆるやかな日差しが、城壁の白い輝きをより際だたせる。
日光の直接反射を防ぐために表面加工されているものの、
やはりその眩しさを完全に防ぐことは出来ないようだ。

だがその目映さは、色彩的なものだけではない。
先の大戦を守り抜いた、偉大な城壁への信頼の光なのかもしれない。

式典の日が近づくにつれ、検問も厳しさを増してきたようだ。



「あ、コペルニクス副師団ちょ……
 って、ちょっと、
 高枝切りバサミに国旗結びつけて何やってるんですか!」

コペルニクス 「俺様が舞う。」

「はぁ!?」

コペルニクス 「王立劇団などに任さず、俺様がフラッグダンスを舞うのはどうか。」

「えええっ!?
 ち、ちょっと待ってくださいよ。
 まだ届けてなかったんですか!?」

コペルニクス 「ちゃきーん。」

「もう受け渡しの期限まで時間がないんですよ?」

コペルニクス 「これは俺様の高枝切りバサミにこそ相応しい。」

「ちっとも相応しくありません。」

コペルニクス 「……ちゃきーん。
 王立劇団に代わって踊るという素晴らしい案を
 考えついたのは貴様だろう。感謝しよう。」

「いえ、あの、ですから
 そんなことだけはしないで下さいよって
 言ったんですが……。」

コペルニクス 「ちゃきーん。
 リボン装着、問題なし。
 国旗装着、問題なし。」

「どっちも問題ありすぎです。」

コペルニクス 「よし。
 これで準備は万端。
 あとは本番で舞うだけか。」

「あ、あの、冗談ですよね?」

コペルニクス 「ちゃきーん。」

(やばい、目が本気だ……。)

コペルニクス 「…………ちゃきーん!」

「あ、逃げたっ!!!」



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