「あ、ユリア師団長。
そういえばさっきの旧アルゲンタイン……、
カイザリアの話なんですが。」
「ん?なぁに、秘書ちゃん?」
「カイザリアって、他の国と比べて
ちょっと独特の言い回しというか、
独自の言葉表現みたいなのがありますよね。」
「そうねー。
アルゲンタインの頃はそうでもなかったみたいなんだけど、
カイザリアになってからその傾向が顕著になってきたみたい。」
「カイザリアになってから?」
「二代目皇帝のジークフリートっていうおっちゃんが、
なんか銀狼帝を凄く尊敬していたみたいなの。
だから彼以降の皇帝は『準位銀狼』っていう称号があるのよ。」
「準位銀狼?」
「意味的には、銀狼に次ぐ地位ってことなんじゃない?
逆に言えば、誰も初代銀狼帝には届かないっていうことを
暗に示しているんじゃないー?」
「へぇ……そんなに凄い人だったんですか?その銀狼帝って?」
「うーん、あたしもよく知らないのよねぇ。
歴史の時間、よくサボって窓の外見てたから。
あとアークが前の席にいたときは絶対後ろ向いてたし。」
「……なんですか、それ?」
「あはは、昔の話よー☆ 気にしない気にしないー☆」
「はぁ……。
確かにその名前は歴史に登場する人物の中でも有名ですけど、
銀狼帝って本当は一体どんな人だったんですかね?」
「さぁ、あたしも会ったことないしー。」
「いや……とっくの昔に死んでるんだから、それはそうなんですが。」
「え、何?
秘書ちゃんお墓でも掘り起こして顔見たいの?
そんなことしたら末代まで祟られるわよー。」
「そ、そんな怖いことできませんってば……。」
★★