Forbidden Palace Library #10 舞え軽やかに


王都シルバニア
住宅街
パン屋ソフトブレッド

昼食時を過ぎたからだろうか、
さっきまでは時折行き交う人々の足音と、台所から洩れてくる軽快な料理の音だけで満たされていたのが、
いつの間にか子供達の小さな足が路地を駆け回る音と、陽気にはしゃぐ声に取って代わられている。

昼過ぎの住宅街は、子供達にとって恰好の遊び場のようだ。



「レミィ陛下ー。」

レミィ 「くー。」

「レミィ陛下ー。」

レミィ 「くー。」

「レ・ミィ・陛・下ー。」

レミィ 「くー。」

「……なんで起きる気配がないんだろう。
 ていうか、なんでこんなところで
 寝ているんだろう、この人。」

レミィ 「むにゃむにゃ、はなまるぅ。」

「…………陛下、もしかして起きてません?」

レミィ 「眠いお年頃、むにゃ……。」

デニス 「ねー、お姉ちゃん、女王さままだ寝てるの?」

レミィ 「くー。」

アリス (女王様? おほほほほ、女王様と呼びなさいっ!
 ……ダメよ、そんないかがわしい。
 私は別にレナードさんをそんな風に……。)

デニス 「お姉ちゃん?」

アリス (でも、もしもレナードさんが
 そういうのを好きだったら……。
 ああ、いけないわアリス。そんなこと、そんなことっ。)

デニス 「お姉ちゃーん……。」

アリス 「な、なに、デニス?」

デニス 「僕、何を手伝えばいい?」

アリス 「そうね……。
 じゃあ私はこっちの角パンを積み上げるから、
 デニスはそっちのデニッシュを籠に並べて頂戴。」

デニス 「デニス……デニッシュ……。」

アリス 「どうしたの、デニス?」

デニス 「うぇーん、やっぱり僕小麦畑で生まれたんだーっ!」


たたたたたっ


からんからんっ

アリス 「あ、ちょっと、デニス! お店の手伝いは?」

レミィ 「くー。」

「…………なんだかなぁ。」


▽ 中央公園へ行く
▽ 城壁へ行く
▽ 繁華街へ行く
▽ 住宅街へ行く

★★



▽ 書庫に戻る

OWNER
Copyright(c)1997-2002 FUBUKI KOGARASHI (木枯 吹雪) fubuki@kogarashi.jp 日本語でどうぞ。