Forbidden Palace Library #02 前例なき犯罪


王都シルバニア
住宅街
工事現場

家々から漏れる魔導の明かりと共に、夕食を楽しむ家族の声も漏れてくる。
どんな会話が繰り広げられているのかまでは聞き取る事は出来ないが、そこに暖炉とは別の暖かさがあることだけは窺い知る事が出来る。

一定間隔に設置された街灯。照らされた路地の下には誰もいない。


エリーゼ 「……はぁ……はぁ……やっとみつけたわ。ここにいたのね。」

「あ、エリーゼ師団長。」

エリーゼ 「ちょっと、アシスト師団長にベル師団長!それに秘書さんもっ!
 なにをぼーっとしてるのっ!?
 早くあの人を捕まえるのよっ!」

ベル 「はっ!そうだった!」

アシスト 「裏切り者めっ!融資の話を期待させやがって!」

「最初から期待する方が悪いと思うんですけど……。」

マルス 「んんん。
 ものは相談なんだけどさ、明日の夜明けまで待ってくれない?
 ね?ね?」

「明日の夜明け?何かあるんですか?」

マルス 「んんん。まぁちょっと明日の夜明けの爆発音を聞いてから……」

ベル 「爆発音!?ちょっとまてマルス、どういうことだ!?」

マルス 「んんん、いや、なに、ねぇ。」

エリーゼ 「まさか……どこかに爆発物でも仕掛けたとでも言うの!?」

マルス 「んんん。ご名答。」

ベル 「どこだっ!どこに仕掛けたっ!?吐けっ!」

マルス 「ないしょ。」

アシスト 「よーし。わかった。
 ならば力ずくで言わせてやる。
 イ・エクトリア・レーベ 地より昇れ紅蓮の炎っ!プロミネンス!

マルス 「ぉうわっ!?」


ごうっ!


「マ、マルスさぁぁぁん、大丈夫ですかぁぁぁっ!?」


…………。


アシスト 「気絶しているようだな。」

エリーゼ 「ち、ちょっとアシスト師団長っ!
 気絶させちゃったらどこに爆発物仕掛けたのか聞き出せないじゃないのっ!
 どうするのよっ!」

「……やっぱり……私たちで探すしかないんでしょうか……ねぇ?」

エリーゼ 「アシスト師団長、帰ったら言うことがたくさんありますからねっ!
 ベル師団長、この容疑者を城へ連行してください。
 私は兵舎に応援を求めに行きますからアシスト師団長達は爆発物の捜索を!」

ベル 「おっけー。」

アシスト 「エリーゼ、お前、こういう時ってもの凄くてきぱきしてるよな。」

エリーゼ 「アシスト師団長……もともとは貴方のせいなんですからねっ!」

アシスト 「ふっ。
 マルスの奴、この俺を融資などという甘い言葉で騙すからこうなるのだ。
 ま、自業自得ってやつだな。」

エリーゼ 「蹴りぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」


げしっ!


エリーゼ 「馬鹿なこと言ってないで、早く探しに行ってちょうだいっ!」

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